最近、お客様と家計の相談をお受けする中で、最近、
「両親の老後・相続が気になる」という言葉を耳にする機会が増えました。
高齢者と認知症
2019年の統計局の発表によると、日本の全人口の28.4%にあたる3,588万人が65歳以上の高齢者であり、うち71,274人が100歳以上の高齢者だそうです。(100歳以上の方は前年から約1500人の増加)
また、2017年の高齢者白書によると、2012年の認知症患者数は、約460万人で高齢者人口の15%に上っています。この白書では、2025年には5人に1人、つまり20%が認知症になるという推計も出ています。
<統計局HP>https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1211.html
<内閣府 高齢者白書>https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html
親の老後のお金について話してますか?
親が年をとること、老いる姿を見ること、あるいは想像するだけでも辛いことではあります。けれど、実際、1年1年子供が成長していくに連れて、私達もみんな歳を重ねていきます。
ご両親が健在でお元気な方にとっては、このまま元気でずっといて欲しいというのは当然ではありますが、それでも親がこれから歳をとり、自力で生活が困難になったら・・・ということは、頭の片隅に何となくあるのではないでしょうか。
その筆頭は介護のことになるかと思いますが、それに付随して、考えておいていただきたいのが、親の老後のお金のこと。
実際、私の両親も60代後半、70代と、高齢者の仲間入りをしました。今はとても元気ですが、年々将来のことが気になっています。気になってはいるけれども、なかなか親子共にそういった話をしづらいのも事実です。わが家の場合、両親とも以前から「自力で生活が出来なくなったら、老人ホームに入るわ」と冗談っぽく言っていましたが、それが本音かどうかは分からず今まできました。
ただ先日、実家に帰った時に、たまたま付いていたテレビで、相続や遺産がテーマの番組が放送されていて、今がチャンスだと思い、それを一緒に観ながら、少し話す機会が持てました。その際には、両親は本気で「施設に入る」(入りたい)ことを考えており、そのためのお金の準備もしているということでした。
後回しにした結果・・3世代にわたって影響が・・
子供としては、親の希望に沿って過ごしてもらいたいと思いますが、ここで事前に対策をしておかなくてはならないのが、もし親が施設に入る前に認知症になってしまった場合ということになります。
認知症になると、本人が銀行口座などに預けている資金が凍結されてしまい、動かせなくなる可能性があるからです。
いくら両親が<自分達が老人ホームに入るため>と資金を貯めていたとしても、その前に認知症になってしまったら、自分のために使えなくなってしまう可能性があるのです。そうなった場合、親の意向を汲んで老人ホームに入れたいとなると、子供である私たちがその資金を工面するということになります。
これは個人差がありますが、私達子育て世代がちょうど教育費のピークになる時に、そういったタイミングが重なる可能性は大いに考えられます。もちろん資金のことだけではありません。
認知症だけでなく、介護する時期とも重なってくる可能性は高くなるのです。
介護とお金、そして介護と働き方について向き合わなければならなくなりますよね。
そうなると、親の将来の生活への準備は、親の将来の希望に沿った暮らしを作るための準備であると同時に、私たち子供世代、あるいはその子供(孫)世代の暮らしを考えるということになるのです。
私たちは「自分達には、そんなことは起こらないだろう」というように思いがちです。ですが、先ほどの高齢者白書の数字を見ると、いつ誰が認知症になってもおかしくない状況ということがわかります。
実際に認知症になってからでは、対応が遅れてしまうこともあります。
例えば、銀行口座の預金に関しては窓口での手続きが凍結されてしまう恐れがあります。また不動産の売買の手続きが難しくなる可能性が高くなります。銀行口座に関しては、「ATM で本人から通帳と暗証番号を預かれば大丈夫ではないか」と思われるかもしれません。
ただ、例えば施設に入るなどで、大きなお金が必要だった場合を考えてみると、現在はATMでも引き出し額に限度額が設定されており、銀行によっても違いますが、メガバンクなどでは1日の ATM での引き出し限度額が50万円、振り込みが100万円となっています。
従って、それ以上のお金が必要な場合、1日では下ろせないということになります。これは一例ではありますが、本人だったら簡単な手続きが、とても複雑で手間がかかってしまうのです。
年末年始の帰省がチャンス!
これは、ほんの1例ではありますが、そういったことが起こらないようにするため、ご両親が元気なうちに、お金の管理についてできるだけ話すことができるのが好ましいです。
とはいえ、親としてはまだ自分が元気でなくなった時の話はしたくないものですし、子供としてもあまり触れたくない話題、お互い話を切り出せないままズルズルと時間だけが経ってしまうというご家庭も多いです。
年末年始、実家に帰省される方も多いと思います。
なかなかダイレクトにこういった話をするのは難しいかもしれません。しかし、親の将来の希望に沿った暮らしを作るための準備であると同時に、私たち子供世代あるいはその子供(孫)世代の暮らしにも多大なる影響があることで、とても大事な話ですから、ぜひきっかけを見つけて、少しでもお話ししていただければと思います。
「知り合いにこういうことがあって・・」
「最近雑誌でこういうのをみて・・」
というような、事例などから入るのも1つかなと思います。
私のように、テレビや新聞記事を活用してみるという方法も1つ。
ただ事例を見たり聞いたりすること自体、少なくても私達の意識が代わり、
心づもりができてきますので、ぜひ情報収集してみてくださいね。